ぐんま暮らし支援センター就職相談窓口

Gターンyour turnぐんま暮らし支援(Gターン)センター就職相談窓口はJR有楽町駅近く東京交通会館8階に開設されました

大企業志向と奨学金

  マイナビが4月に発表した「2017年卒大学生就職意識調査」によれば、大企業志向の学生比率が前年度の42.9%に比べ5.5ポイント上昇して48.4%になったという(「絶対に大企業がよい」と「自分のやりたい仕事ができるのであれば大企業がよい」と答えた学生を合計した数字)。

 これと符節を合わせたように、企業選択のポイントを問う質問(2つ選択)でも、「自分のやりたい仕事ができる会社(38.4%で対前年比1.8ポイント減)」「働きがいのある会社(16.0%で同1.6ポイント減)」「社風のよい会社(17.4%で0.4ポイント減)」が減少し、「安定している会社(28.7%対前年比2.4ポイント増)」「勤務制度、住宅などの福利厚生の良い会社(13.4%同1.0ポイント増)」、「給料の良い会社(12.8%同1.6ポイント増)」が増加したという。謂わば、実利重視の学生が増加した訳だ。

 大企業志向の学生が増加した最大の要因は就職環境の好転だろうが、ある大学のキャリア関係職員が「給与水準が高いと思われる大企業を希望するのは、奨学金の返済が気になるからかもしれない」と話していた。相談に来る学生の話の中で奨学金返済の話がでることが少なくないと言う。

 奨学金を利用している学生はおよそ半分、ふたりに一人と言われるが、利用者のほとんどは返済しなくても良い「給付型」ではなく、返済が必要な「貸与型」の奨学金を利用している。卒業後6ヵ月後の10月くらいから返済が始まる。月8万円の奨学金を4年間利用したら(合計約400万円)、金利の動向にもよるが、20年にわたって月2万円前後の返済を続けなければならない。新入社員にとって月2万円は可なりの負担だろう。

 「1億総活躍プラン」には「奨学金の拡充」が盛り込まれ、誰もが高等教育を受けられる環境が一歩前進するよう期待されるが、返済しなければならない奨学金が主流であることに変わりはない。

 都会で余裕のある生活ができる給与、福利厚生を整えている大企業の数は限られるだろう。地方出身者ならUターン就職して実家から通勤すれば(平均初婚年齢の男子30歳、女子29歳くらいまで)、給料は多少すくないかもしれないが生活コストが安いだけに、都会で暮らすより実際に使えるお金はずっと多い。しかしそれに気づくのは、結婚し子どもを育てるようになってからというのが実情だ(大企業に勤めて高い給料をもらったら、子どもの保育料の高さに驚くことになるだろう)。

 ただ、実家に帰れない、帰りたくないという状況にある学生がいるのも事実。いずれにしても貸与型奨学金の存在が、就職時に少なからぬ影響を及ぼすようだ。