どう考えても、「永井食堂」は地方創生のお手本です
これから暑くなる季節ではありますが、暑くてもビールにモツ煮の組み合わせは、飲んべいを「『NO(ノー)』と言えない日本人」にしてしまいます。これに冷ヤッコか冷やしトマトか枝豆で飲み始める方は多いのではないでしょうか。
ぐんまでモツ煮と言えば、80%くらいの人が思い浮かべるのが渋川市(旧子持村)にある永井食堂のモツ煮。商品名「もつっ子」です。このパンチの効いた、ベタなネーミングがたまりません。国道17号線沿いに店舗はありますが、カーブで見通しが悪く立地がいいとは言えません。お店もお洒落とは言えません。眺めがいい場所でもありません。近くに集客力の高い名所旧跡があるわけでもありません。
それなのに、春夏秋冬休みの日ともなれば日本全国津々浦々から続々とお客が押し寄せます(ややオーバー)。絶え間ないお客の列を作らせるのは、やはりその味なんでしょうね。宅配や物産展でも買うことはできますが、やはりお店に行って買う、あるいはお店でモツ煮定食を食べてこそその真価が分かります。クルマから降りてくるお客さんなんか、ようやく着いたというより、押しなべて、富士山登頂を成し遂げた人みたいな満足感、納得感に満たされた顔をしています。ついにモツ煮の聖地巡礼を果たしたぞ、といった達成感が伝わります。
もともとは国道17号線を走るトラック野郎を相手にした商売だったのでしょうが、モツ煮が評判となり持ち帰り用の「もつっ子」を用意するようになったと考えられます。それがストレスを抱え不安にさいなまれ、徒労感に悩まされる現代人(とは限りませんが)にヒット。「モツ煮御殿」が建つようになった訳です(未確認です。間違っていたらごめんなさい)。
地方でも、中山間の村でも、儲かるビジネスが成り立つわけです。どう考えても「永井食堂」は地方創生に貢献するビジネスモデルだと思います。そして第二の「永井食堂」が群馬のあちこちにできれば、地方創生が促進されることになると思います。
ここで勝手に永井食堂儲かりのヒケツを考えれば、
(1)店舗維持費が安いこと(新橋での営業だったら家賃は高いですよ)
(2)近隣にライバルが少ないこと(多くの競合店があれば、たとえ味が良くても味の良い店のひとつで埋もれてしまったかもしれません)
(3)宅配という流通チャンネルが使えること
(4)スマホの普及などで「ネット口コミ」が盛んになったこと(勝手に宣伝してくれる)
(5)消費者のボリュームゾーンにとって手軽な価格の商品
(6)材料調達面で有利だった(群馬県は全国でも有数の養豚県)
ということになるかもしれません。